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笛吹川水系 西沢渓谷
三重ノ滝・七ツ釜五段の滝
ホラノ貝ゴルジュ
2012年6月16日〜17日



・・・ホラ貝のゴルジュ、核心部の4m滝は、前日からの雨で増水し、その水流を一気に釜へと流し込んでいた。

水は緑色に濁って白く泡立ち、釜全体が時計回りに渦を巻いていた。



通常はエイドパートの右壁を、何でフェルトソールでフリーソロなんかしようと思ったんだろうか・・・



後悔し始めた時には既に遅く、気づけば釜に落ちていた。



どっちが水面かも分からない状態で圧倒的な水圧に撹拌され、気泡に満ちた水を必死で掻いたが十分な浮力は得られず、無力さと焦りが募るばかりだった。

流れに押されて一瞬水面に浮かび上がったけど、肺に酸素を満たす間もなく再び釜の渦の中に引き込まれていった。



もはやこれまでか・・・

初めて登った真夏の穂高の峰々、フリーソロで越えた北岳バットレス第四尾根、残雪の北鎌尾根、城ヶ崎での熱いクライミング、キャンプファイヤーを囲んで熱く語り合った廻り目平の夜・・・・ 

これまでの楽しかった思い出が走馬灯のように瞼の裏を駆け巡っていった・・・・・



《プロローグ》

〜5日前〜

2週間前の大常木谷の後から、常に心は沢登りに取付かれていた。



「東京起点 沢登りルート120選」を買って読み漁ったけど、これだ!という沢を見つけられない。

大常木谷の千苦ノ滝登攀は、既存の情報のないラインを自分たちの手で切り開いていく楽しさを教えてくれた。

その楽しさを知ってしまった今となっては、もはや遡行グレード3級以下の沢はいまひとつモチベーションが湧いてこない。

やっぱり単なるトレースではなくて、挑戦的な要素が多い遡行をやりたい。

そんなことを考えながら平日の昼休みに「SOLOIST」の記録を眺めながら1人で妄想を膨らませていると、ペコマから週末の誘いのメールが来た。

行き先は決まってなかったからとりあえず気になってた沢を提案してみた。

西丹沢の悪沢、日光の稲荷川、ホラ貝ノゴルジュ〜釜ノ沢・ ・・

週末の天気は期待できそうになかったから行程が短くてそれなりに手応えのある場所ってことでホラ貝行きがすんなり決定した。

もちろん遡行スタイルは残置無視、オールフリーで水線突破だ!

土曜は1日使えるけど、日曜はペコマが仙台に帰らないといけないから、ホラ貝は日曜の午前にやることにして、土曜の予定が決まらないまま金曜の夜を迎えた。




《出発》

今回はチッペが仕事で‘山’に行ってるから、ペコマは1人仙台から片道500kmを運転してこなければいけない。

ペコマの負担と交通費を考えて、浦和で合流してそこからは俺の車一台で深夜の中央道を西沢渓谷に向かった。

車の中でまだ決まってない明日の遡行案を二人で話し合い、どうせ雨の週末で観光客はいないだろうってことで、西沢渓谷の三重の滝のゴルジュ突破と大久保の滝の登攀(結局やらなかったけど)をやってみようってことになった。

夜中の2時前に道の駅「みとみ」に着いて適当に屋根の下で寝て、翌朝西沢渓谷駐車場に移動して遡行準備をすませ、アプローチを開始した。








《アプローチ》

どんな遡行になるか分からなかったから、ギアはとりあえずハーケン、ナッツ、カムと車に積んであるものを全部持って出発した。



ペコマは肝心の沢靴を家に忘れて来たからスポルティバのアプローチシューズでの遡行だ。



小雨の降る中を遊歩道沿いに歩き、吊り橋を渡って大久保の滝の観瀑台に着いた。





対岸にある滝は取り付きまで行くのが大変そうだったから、まずは遊歩道からすぐに降りれる三重の滝ゴルジュに行くことにした。








《三重の滝ゴルジュ突破》

三重の滝観瀑台の柵を乗り越え、ブッシュにスリングを掛けて懸垂で川床に降り立った。



下部の滝は高さはないようだけど、もし登れなかったら戻ってくるにはかなりの大巻きが必要になるかも知れない。



ってことで観瀑台真下のゴルジュだけピンポイントで遊ぼうってことになった。



雨の影響で明らかに水量が多い。

すぐ上は普通の観光用の遊歩道だってのに、二人ともビビって躊躇している。



ペコマが「提案者だから先に行きなよ〜」

とけしかけて来る。

朝一初っぱなからガチ泳ぎか・・・

かなり気が重かったけど、ここで引き下がるわけにもいかず、無理やりテンション上げて水に入っていった。



無理。



あと数メートルのとこで流れに押し戻され、側壁も手掛かりがなくて諦めて戻ってきた。

続いてペコマの番。



もと水泳部らしいペコマは苦戦しつつもガチクロールで何とか突破した。





俺も再挑戦したけどやっぱ無理。

仕方なくロープで引っ張ってもらった。



ここから続く流れの速い小滝は手頃な感じでシャワークライムを楽しめた。





そして最後の大釜だ。



初めて見たときから、夏にここで泳いだら気持ちいいだろうな〜って思ってた場所だけど、いざその縁に立つと深い釜の底に引きずり込まれそうな不気味な感覚が沸いてくる。



せっかくだからとなるべく釜の真ん中を泳いで、流れ込む小滝は水流沿いを越えようと思ったけど、ツルツル過ぎて無理だった。



すぐ脇の遊歩道に上がり、三重の滝の観瀑台に戻ったときには二人とも結構やった感に満ちていた。



だけど時計を見てみると、まだ9時前じゃないか!!

二人で失笑しつつ、このあとどうするか相談した。

ペコマが七ツ釜五段の滝を見に行こうって言い出して、あわよくば登攀もって話になり、まだ誰もいない(てかこんな天気で誰か来んのか?)遊歩道を上流目指して二人で歩き出した。



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