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笛吹川水系 西沢渓谷
三重ノ滝・七ツ釜五段の滝
ホラノ貝ゴルジュ 2012年6月16日〜17日
←≪西沢渓谷 摘み食い遡行≫へ戻る 《七ツ釜五段の滝登攀》 七ツ釜五段の滝は西沢渓谷隋一の名勝で、普段は観光客やハイカーで賑わっている場所だ。 だけど滝を目の前にするとそんなことすら忘れて早速登れそうなラインを探した。 左壁はまず登れそうにないな・・・ 下から見る限りだとホールドは乏しそうだけど右壁は可能性を感じる。 ランニングは取れそうにないな・・・ でもどうせ落ちても深い滝壺だから、ま、死ぬことはないか・・・ ペコマとライン取りについて意見を言い合い、落ち込み右の小テラスからバンドに上がって取付く案を試してみることにした。 ペコマが釜を泳いで右壁に取付こうとしたけど、ツルツル滑ってテラスに上がれないまま戻ってきた。 やっぱもうちょっと右からじゃないと無理かな〜?と水線から少し離れたホールドのありそうなラインで再び登りだした。 滑りそうになりながらも何とか一段上の小テラスまでたどり着いてそこでピッチを切った。 そこから上はやっぱり悪そうに見えるようだ。 とりあえず俺も滑りそうなホールド、スタンスを誤魔化しながらペコマのいるテラスまで登った。 ペコマはその上をためらっているようで、俺にリードを譲ってくれた。 いいの?ほんならいったるぜぃ! 一枚ハーケンを打ち足して、スタンスのフリクションを確かめながら水流脇のフェイスに出ていった。 するとテラスからは死角になってて見えなかったけど、クラックがあるじゃないか! しかもガバガバだし! ナッツで2箇所ランニングを取った後は、そのままクラックを直上するのが最も簡単なラインに思えたけど、折角なら水線により近いラインを登りたいっていう欲が出てきた。 少々ランナウトするけど、滝の上部は傾斜も寝てきてホールドも繋がりそうだ。 敢えてクラックから離れて落ち口目掛けて左上気味に登っていった。 落ち口は完全にナメていて、片足を水流に持っていかれそうな怖さはあったけど、無事フリーでF1を越えることができたぜ! と喜んでいたのも束の間で、ビレイ点を作るリスやブッシュが落ち口付近に見当たらない。 肩がらみか?と一瞬頭をよぎったけど、さすがにそれは無いなと思い、釜左岸のナメた側壁を少し登って、ブッシュにスリングを掛けてペコマのビレイをした。 ペコマも「な〜んだ!ガバガバじゃん!こんなことならそのままリードすればよかった・・・」とブツブツいいながらフォローで上がってきた。 ペコマが安定した場所まで行ってから、ビレイ点を回収して側壁をすべりおりた。 F1を残置なし、オールフリーで越えられた充実感に浸りながらも、二人とも既にF2のラインを探し初めていた。 可能性があるなら左壁だな・・・ まずは下部のバンドに立って、その上は適度に凹凸がありそうだ。 早速ペコマが釜を泳いで取りつこうとしたけど、水から上がることすら出来ずに戻ってきた。 今度は釜からの取り付きは諦めて、右岸のスラブを滑りそうなスタンスでトラバースし、左壁の基部まで辿り着いた。 バンド下はほとんど凹凸がなく、おまけにかなりヌメっていた。 唯一のホールドとなるカチを頼りに微妙なスメアで何とかリップに手を掛けたものの、リップも甘いスローパーでヌメっているらしく、一瞬越えられるかと思ったところで見事に釜にドボン・・・ 釜を泳いで戻ってきて選手交代だ。 俺も何とかリップに手を伸ばすも見事ドボン・・・ ペコマは「もう左岸を巻いて行っちゃわない?」とやや諦めモードだ。 俺「いや、時間は十分あるしこれで今日の行程は終わりだから、もうワントライだけやらせて。」 ペコマ「じゃあ僕も。」 とペコマが先にラストトライに向かっていった。 ・・・が取り付く手前のトラバースでドボン・・・ そこじゃねーだろ(笑)! もうワントライするもやっぱりバンドには上がれず戻ってきた。 そして再び俺の番。 よしっ!これでほんとにラストトライだ! 気合いを入れ直してトラバースをこなし、基部からは一気にムーブを起こした。 落ちるの覚悟でリップの右手に左手を寄せ、いつ滑り落ちてもおかしくない体勢で足を上げてマントルを返した。 よっしゃぁーーーっ!!!! ボルダー4〜3級くらいか? ハーケンを一本打って、バンドから少しずつ上がって行った。 うーん、リスが無いなー。 無理やりハーケンを打とうとすると、岩が割れてしまった。 他にハーケンを打てそうな個所がなかったからランニングはとらずに上がっていった。 ワンポイントだけ悪い乗り込みが出てきたけど問題なくフリーでクリア!! フォローのペコマもさっきの苦労が嘘のように下部のバンドに難なく乗り込み、フリーで登ってきた。 F2を登りきるとちょうど遊歩道に合流出来るから、F 3〜F5はパスして今日の行程は終えることにした。 《下山〜夜》 遊歩道を歩いて下る途中、雨にも関わらずそれなりの数のハイカーとすれ違った。 やっぱり人気の観光スポットなんだな〜と改めて認識した。 実は登攀中も何人かが遊歩道から滝を見ていたようだ。 ま、いろんな意味で無事に登攀を終えられて良かったな。 車に戻って温泉に向かい、ぬるま湯の露天風呂で一時間ほど二人でうとうとした。 道の駅「みとみ」に戻り、明日のホラ貝に参戦する新メンバー、G_Enkidu氏の到着を待った。 夜は西沢渓谷駐車場の近くで、ほぼ初めて顔を合わせたにも関わらず、ヤングクライマーとしての熱い思いを三人で互いにぶつけ合いながら、ビールにワイン、ウイスキーを次々に空け、明日のホラ貝のプランの話もほどほどに夜は更けていった・・・ 《インターミッション》 帰って調べてみると、夏期に七ツ釜五段の滝を登った記録を一つだけ見つけた。 F1は全く同じライン取りだったけどフリーでは越えていないようだ。 F2は左岸を巻いているから、もしかしたら俺たちの左壁ラインは初登ラインかも知れないな。 ま、そうだとしても全然記録的価値はないだろうけど。 でも前回の大常木谷 千苦ノ滝登攀に続いて未知のラインを自分たちの力だけで登攀でき、更なる自信に繋がった。 ラインの見極め、プロテクションの判断、濡れた岩のクライミング、だいぶ感覚が分かってきた。 ぼちぼち沢でもソロやっていいかな? →≪ホラ貝のゴルジュ≫へ |