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伊豆・海金剛
スーパーレイン 5.10a
2011年12月27日

12月27日、せっかくの休みなのに何も予定が入ってなかったから、4年ぶりのスノボー明けでまだ体のあちこちが痛かったけど、年明けに計画してた海金剛ソロを前日18時の思いつきで決行することにした。



準備して出発し、首都高、東名をぶっ飛ばし、途中で仮眠をとりつつ、朝5時に雲見オートキャンプ場に到着した。



真っ暗だったからまた仮眠して7時頃眼を覚ますと、まず目に飛び込んで来たのは、山岸尚将さんがマイフェイバリットルートに挙げていた、雲見崎の直上裏参道だ!! そして駿河湾の向こうには雪を抱いた南アルプスも!


朝日に輝く太平洋を見ながら約30分のアプローチを終えて海岸に降り立ち、海に延びる小尾根を1つ越えると、青い海から空に向けて突き上げる海金剛の正面壁が現れた!


今回のターゲットは海金剛のメインルートとも言える、スーパーレイン(7P、5.10a)だ!!



しかもソロでオンサイト狙い!!

スーパーレインは取り付きから終了点まで正面壁のほぼ真ん中を見事にクラックが繋がっていて、ランニング用のハーケン、ボルト類は一切ない。ビレイ点も下部城塞のリングボルト以外は全てブッシユにスリングで取ってあるもので、これまで見てきたどのルートよりもクリーンなルートだと感じた。


今考えてみれば、これらのビレイ点も残置は使わずに、自分で全てナチュラルなビレイ点を工作することも充分可能で、もしそうしたら本当に人の手が加わっていない自然のままのラインを登ったという充実感が味わえただろう。


だけどなにせオンサイトトライっていう特性上(というか単なる準備不足…)、事前情報はなるべく目にしないようにしてたからしょうがないか。
ルートは5割くらいがジャミンクで、フィンガー、ハンド、フィスト、オフウィズスと、各セクションは短いものの、内容は充実してて最初から最後まで飽きさせない。


一般的には中間部の5.10aのピッチが核心のようだけど、最後の2ピッチ(どちらも5.8のOW)の方が少し被ってて、スタンスもなくてかなり緊張した。


そして最後の最後、ここまで全てのピッチをオールナチュプロでオンサイトに成功し、終了点は目前というところで、最大の核心が待っていた。


プロテクションの全く取れないスラブ…

しかもかなり傾斜が立っていてホールド、スタンスもあまり良くない。

最後に取ったプロテクションは足元のさらに2メートル下で、自分がいるのはテラスから4メートルくらいの高さの場所だ。

そして目に入って来たのはこれ見よがしに打ち付けられた一本のボルト…

このボルトを使っても落ちなければスーパーレインをソロでオールフリーで登ったと言えるけど、それはこの海金剛というエリアの特性に背いている気がする。 かと言ってもしそのボルトにランニングを取らずに突っ込んで足が滑ったりすれば、ほぼ間違いなく下のテラスにグランドフォールするだろう。


決して安定しているとはいえないその場所で、待てば待つほどぬめってくる指先でカチを持ち変えつつ慎重にチョークアップし、目に見えるホールドの位置、手に触れることのできるホールドの悪さ、それらを使って起こすムーブを一瞬のうちに検討して、ランニングは取らずに行くことに決めた。
もう一度両手の指先にチョークを付け、全神経を指先と爪先に集中して、慎重にかつテンポよくムーブを起こした。

落ちることなく終了点までたどり着き、安定したピークに立つと、海の向こうにうっすらと雪を被った富士山が見えた。



これでひとまずはソロクライミングレベルアップの第一歩に成功した。

しかもオールナチュプロでのソロは初めてで、クラッククライミングでのソロも初めてだ。



ピークに着いたとき、すでに日は傾きかけていたけど、遥か200メートル下には波が打ち付け、そこから続く太平洋には反射した太陽が水平線まで延びていた。


オレンジ色の光を浴びながら一服し、懸垂の準備を済ませ、これから待っている明星山、穂高屏風といった目標ルートに思いを馳せつつ、今登ってきたルートを下降した。


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