welcome
TOPソロクライミング リード・ボルダー 山行・アルパイン
コンペティション その他



ソロクライミングのこれまで


ここでのソロクライミングってのは、本来ロープで確保されて登ることを前提としているルート(主にアルパイン)を、パートナーのビレイに頼らず、自分で自分をビレイしながら、または確保なしでクライミングをすることをいう。

初めてのソロクライミングらしいソロは、2008年4月、残雪期の八ヶ岳 中山尾根だったと思う。



その時は3人で行ったのに、何故かは忘れたけど他の2人とはザイルを結ばず、ほぼフリーソロで稜線まで抜けた。



実を言うと一ヶ所だけきわどいシーンがあったけど、ロープ操作やビレイ点工作の煩わしさにとらわれることなく、ただ岩と雪の中でクライミングだけに集中することが出来た。



これがきっかけで本格的にソロクライミングをやってみようと思ったんだけど、ソロクライミングのやり方が書いてる本なんてほとんど無い。

世の中にはソロクライミング専用ビレイデバイス(ソロイスト、ソロエイド、サイレントパートナーなど)っていうものが存在するんだけど、これらは日本では手に入らない(カラファテには展示品として置いてあるけど)。

ネットで探してみて、ソロシステムについて書いてるページをいくつか見つけ、6月に二子山中央稜で試してみた。アッセンダーを使ったシステムを試してみたけど、クライミングしながらのロープ操作と登り返しに手こずって、クライミングを楽しむどころじゃなかった。なので4、5ピッチはまたしてもフリーソロ。



次に行ったのが7月の北岳バットレス第四尾根(10ピッチ 250m ?鶩級)。山を初めて1年後の2006年に北岳に行き、バットレスを登るクライマーを一般道から眺めて、自分もいつかあそこを登りたい!!って強く思い、フリークライミングを始めるきっかけになった場所だ。



それから2年後、ついに憧れのバットレスを登る時が来た。憧れのルートをソロで登れたらどんなに素晴らしいだろうと思ったけど、まだソロシステムに関しては試行錯誤の段階だったから、もし無理そうだったら一緒に来ている2人とザイルを結ばせてもらおうという魂胆で取り付きに向かった。



しかし取り付き渋滞に捕まり、待ってると日が暮れそうだったから側壁をフリーソロで抜け、結局二人に頼るどころか全ピッチ(マッチ箱の懸垂以外)フリーソロで四尾根を登りきることが出来た。





ちなみに一緒に行った二人はルート間違えてガチ遭難しかかったんだけど…(詳細は「尾根の向こう」に載ってるよん。→http://onenomukou.web.fc2.com/kita.html)



ということでソロシステムを試す機会が出てこなかったから、三ツ峠(映画「岳」とか「クライマーズハイ」のクライミングシーンを撮影してるとこ)で、自分で考案したルベルソを使ったソロシステムを試してみることにしたんだけど、これがなかなか上手くいって、自分なりのソロシステムの原型が出来上がった。





このシステムを本チャンルートで試すべく選んだのが8月の谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩中央稜(10ピッチ 300m X級-)だ。



まず、取り付きの支点をアンカーとしてロープをフィックスし、ハーネスに連結したビレイシステムに通してから残りをザックに入れて背負う。登っていくとアンカーでロープが引っ張られてザック内のロープがビレイ器を通して流れていく。あとは普通のクライミングと同じでランニングをとりながら登っていく。落ちるとビレイ器にロックが掛かって止まる…

…はず。落ちたことないから。

登りながら修正を加え、V級以下のピッチではフリーソロも交えつつ、快適に衝立の頭までクライミングを楽しむことが出来た。もちろんオールフリーで。



登攀にかかった時間はパーティーで登る参考タイムと同じくらいで、途中ルーファイミスによるロスを考えると、かなり順調だったと言えるだろう。



この登攀の成功でソロクライミング法がほぼ完成し、この年は北穂高岳 滝谷ドーム中央稜(5ピッチ 190m X級)もやって更に自信が付いた。





このあと続けてチンネ左稜のソロに挑戦すべく劔岳に向かったけど悪天のため敗退し、2年越しのリベンジを果たしに去年も劔に向かったけどまたしても悪天敗退となった。



去年の12月、仕事で九州に行ったとき、日本でも屈指の大花崗岩帯が宮崎県にあることを知った。そこに雌鉾岳という高低差250m、横幅400mの大スラブを持つ岩峰があって、全長350mの大長征(9ピッチ X級+)ってルートがあるんだけど、この規模のスラブルートなんてそうそうお目にかかることは出来ない。グレードもアルパインとスポーツルートの中間って感じだったから、これはソロでやってみる価値はあるなと思った。



最初の100mは傾斜が緩いのでフリーソロ。あとはソロシステムで、途中なんと100m程もある大トラバースをこなしつつ、更に傾斜の強くなった核心ピッチへ。後半は傾斜が強いだけでなく、最後は10mくらいランナウトしつつ、なんとかノーフォールで登りきった。



そして今年の夏、劔岳 チンネ左稜線(13ピッチ 430m X級)のソロに、3年越し、3度目にしてやっと挑戦出来た。特に苦戦することなく快適に登攀を終えて思ったことは、クラシックなオールフリールートでのソロはそろそろ卒業して次のレベル、つまりデシマルグレードの付いたルートに挑戦できる実力はあるだろうということだ。





これまでスポーツクライミングでは5.12前半を何本かレッドポイント、5.11後半を何本かオンサイトしている。5.10台なら9割以上の確率でオンサイト出来る自信がある。

だけどソロクライミング、特にアルパイン系のソロでは、100%オンサイト出来なければいけない。しかもロープを背負って、時にロープ操作をやりながらのクライミングでだ。加えてルートファインデイング、敗退の判断なども全て自分で考えなければならない。全てのピッチをリードできるけど、全てのピッチをフォローしなければいけない。同じルートでも二人で登る時の2倍以上の労力を要する。使用するギアは変わらない(むしろ増える)から、アプローチの荷物の重さもほぼ2倍だ。





だけどそれがソロクライミングの魅力だ。誰の助けも借りず全てのことを自分で考え判断し、全ての行動の責任は100%自分に反ってくる。登攀の苦労や成功の喜びを誰とも共有することなく、自分だけのために反芻する。



これまでソロで登ったルートはクラシックなフリーのアルパインルートとしてはそれなりのレベルだと思うけど、登るルートのグレードを上げてきた訳ではなく、どちらかというとその方法を確立させてきたといった感じだ。



だからこれからは今のシステムでどこまでフリーで登れるのかに挑戦していきたい。



⇒このページのトップへ戻る






⇒ソロクライミング一覧へ戻る

⇒ホームへ戻る

inserted by FC2 system